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僕は、今回の新しい文字が、何かをより適確に記述できる道具になるんじゃないかというようなことを期待し、新しい文字によって、世界の容量みたいなものを増やせるんじゃないかというようなことを考えた。    制作に際して、文字について調べていたときに、変体仮名という現在使われていない膨大なひらがなたちに出会った。今のひらがなに至るまでに、長くおびただしい表記の試行錯誤の過程があって、そのなかで眠ることになったその文字たちを見たときに、ひらがなの豊かさと可能性を知った気がした。そして自分も同じように試行錯誤してみたいと思った。  初めは、自分独自のひらがなの提案をしたいと意気込んだが、それは結果的に、今のひらがなが持っている美意識や抽象化のパターンのようなものを辿ることになった。  長い精製を経たひらがなは美しかった。ひらがなが好きだ。